フェルメール「窓辺で手紙を読む女」画中画のキューピッド
フェルメール初期の傑作「窓辺で手紙を読む女」。今年注目のその理由はキューピッドの画中画が現れたこと、それが日本で公開されていることにあります。
現在は大阪市立美術館で、「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」のメイン作品として展示されています。
私もさっそく観に行ってきました。
修復前の画像
当然のことながら、修復前の状態と同時に見比べることができませんが、修復前の模写(展示されている)と比べると、最初に感じたのは「色が鮮やか!」ということです。
キューピッドのあるなしだけではなく、全体の色調が違うので、作品全体の印象も全く変わります。
さらに思ったのは、「フェルメールがどんな考えや思いでキューピッドを描いたのだろうか?」ということでした。
フェルメールの作品には、シンプルを極めたグループと、寓意が込められたものがたくさん描きこまれたグループがあるように思います。
*シンプルを極めた例
フェルメール「真珠の耳飾りの少女」1665年頃
フェルメール「牛乳を注ぐ女」1658年 – 1660年頃
これは下絵の段階では壁に地図が描いてありましたが、完成時には塗りつぶされています。
これらのシンプルな絵は日本でも人気が高いので、フェルメールというとシンプルで静謐な情景を描く画家、というイメージがあるのかもしれません。
でも、そんな絵だけではないのです。
*寓意たくさんの例
フェルメール「絵画芸術」1666年頃
描かれている物や人、それぞれに意味が込められています。
フェルメールだけではなく、当時オランダで人気の画家たちも同じように、深い意味が込められた絵画をたくさん描きました。
「窓辺で手紙を読む女」は、キューピッドが現れたことで、
「(本当は深い意味があるかもしれないけど)シンプルに画面を楽しめる絵画」
から、
「寓意たくさんの絵画」
へと変貌したといえるのではないでしょうか。
そこで、画中画以外に描かれたものや、配色、構図、など様々な角度からその意味や理由を考察してみました。
本当のところは永遠の謎ですが、もしかしたら、と考えて絵を観ると、新しい世界が広がるような楽しさを味わえると思います。
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わさびラボ 松本佳子