国立国際美術館「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」内覧会

大阪・中之島の国立国際美術館で明日11月3日から始まる「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」の内覧会に行ってきました。

展示される61点全てが日本初公開で、ゴッホやフェルメールなど有名な巨匠の名作ぞろいです。

描かれるテーマも多様で、セクションごとに特徴があります。

第1章「イタリア・ルネサンス絵画の収集」では主に聖書をテーマにした絵画が見られます。

クリヴェッリ「聖エミディウスを伴う受胎告知」

細かい線でびっしりと描き込まれているので隅々まで味わっていただきたいです。拡大鏡があると便利だと思います。

第2章「オランダ絵画の黄金時代」では、肖像画、風景画、静物画などテーマは様々、そしておなじみレンブラントやフェルメールの作品に出会えます。

レンブラント「34歳の自画像」

全体に暗い色調でぼかしてあるように見えますが、実は!とても細かく描き込んであります。

ヒゲの1本1本や、まぶたの粘膜の部分など、驚きの繊細さです。拡大するとよりわかりやすいと思います。

フェルメール「ヴァージナルの前に座る若い女性」

この作品のサイズは51.5 x 45.5cm。多分、想像より実物の方がずっと小さく感じると思います。

空間の明暗の描き分けにその秘密があるのかもしれません。

第3章「ヴァン・ダイクとイギリス肖像画」では、ヴァン・ダイクから始まるイギリスの王侯貴族の肖像画の系譜がたどれます。

ヴァン・ダイク「レディ・エリザベス・シンベビーとアンドーヴァー子爵夫人ドロシー」

フランドル出身のヴァン・ダイクの優雅で華麗なる肖像画がイギリス人の憧れとなり、永らくお手本とされました。

その他、

第4章「グランド・ツアー」と第6章「風景画とピクチャレスク」ではイギリス人好みの風景画の数々、

第5章「スペイン絵画の発見」ではベラスケスやムリーリョなどの、聖書にちなみながらも堅苦しすぎず観て楽しい絵画の数々、

など、本当に盛りだくさんの内容です。

画家の気合が込められた作品の連続の中、第7章「イギリスにおけるフランス近代美術受容」で出会ったコローの「西方より望むアヴィニョン」。

穏やかな色調に癒される感じでほっとしました。

そして最後に特別に鎮座する、ゴッホ「ひまわり」。

彼のゴーガンに対する熱い思いが込められた渾身のひまわり。

絵の具のみっちりした盛り上がりも尋常ではない厚みで、この絵の前に立つだけで圧倒されます。

「ひまわり」をご覧になる時には体調を整え、気力を十分養ってから行かれることをおすすめします。

以上、特に印象に残ったものを取り上げましたが、他にもすごい絵、超絶技巧の絵、美しい絵、楽しい絵がたくさんあります。

また、個々の絵を鑑賞するだけではなく、

・順に観ていくだけで西洋美術の歴史をたどれる

・西洋の絵画がイギリスでどのように受容されていったかを知ることもできる

という、何通りもの楽しみ方ができる、贅沢な展覧会です。

西洋美術がお好きな方はもちろん、絵画はあまり詳しくないけど興味があるという方には是非足を運ばれることをおすすめします。

私も期間中に時間を見つけて再度観に行きたいと思います。

わさびラボ 小林佳子

 

 

 

 

 

 

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