光と色の実験:赤いトマトに青い光を照射したら何色に見えるか
赤い物体に青い光を照射したら何色に見えるか、という実験をトマトとLEDを使って実験しました。
以前、このブログの「分光反射(透過)率曲線」の記事で、
「青い光のもとで赤いリンゴをみた場合、
リンゴから反射されて眼に届く光はほとんどありません。
ということは、このリンゴはほとんど黒に近い色に見えるのです。」
と述べました。
皆さんはこれを読んでどう思われるでしょうか?
理論としてわかっていても、真っ青な光の世界で生活することがない人がほとんどだと思いますので、なかなか実感しにくいと思います。
そこで、身近にある赤いものとLEDを使って実験してみました。
用意したもの
材料は赤い物体としてミニトマトを選びました。
りんごもあったんですが、より赤みが強く色むらが少ないので、こちらの方が適していると判断しました。
砲弾型LEDとリチウムボタン電池。LEDの足で電池をはさむと光ります。
LEDの色は赤と青を使用します。
準備
できるだけ暗い空間を作ります。
使用するLED以外の光が入らないようにするためです。
ですので、夜に、部屋を閉め切ってから行いました。
赤い光を照射した時
最初に赤い光で照らしてみました。
トマトの表面が赤く光っているように見えるのがわかります。
これはトマトが赤い光を反射しているということです。
青い光を照射した時
次に青い光に変えて照らします。
トマトの真ん中の一番出っ張っている部分が白っぽく光っています。
これはトマトの表面がつるつるしているために鏡面反射(全反射)が起こっているためです。
その名前の通り、トマトに当たった光を鏡のように反射しているというわけです。
しかし、その周りの部分はどうでしょうか。
影のように黒っぽく、光沢がありませんよね?
これはトマトが青い光を吸収してしまって、反射していないからです。
スマートフォンのカメラで撮影すると画像全体が青みよりになるので、影の部分も青みがかって見えていますが、実際に肉眼で見ると、青みはほとんどなく、黒に近い灰色と言えます。
赤いトマトは青い光を反射せずに吸収してしまうため、このような現象がおきます。
ちなみに、普段の生活での光、太陽光や照明の光には、赤い光が含まれているので、赤く見えます。
まとめ
最初に引用した文の通り、青い光のもとでは赤いトマトは黒に近い色に見えました。
ミニトマトはどんな光でも赤く見えるのではなく、赤い色を含む光のもとで初めて赤く見えるということなのです。
「物に色がついているのではなく、物体を照らす光のなかに色が含まれている」という理論を最初に確立したのはアイザック・ニュートンですが、その理論の一端を多少なりとも実感していただければ幸いです。
また、この実験のもとになる理論については、カテゴリ「光と色」で順を追ってわかりやすく説明しています。