人の眼と色と光の波長
色を見るための三つの要素、
光、物体に続き、最後の「眼」です。
眼に入って来た光を最初に感じるところが網膜です。
ここで起きた反応が神経に伝わって脳に届き、
人は「色を見た」と感じるのです。
網膜の中には色を感じる細胞(視細胞)が大きく分けて2種類あります。
一つは杆体(かんたい)、もう一つは錐体(すいたい)です。
杆体は1種類のみで、光の明るさに反応します。
錐体は3種類あり、それぞれ反応する波長の範囲が異なります。
これらの細胞の反応の組み合わせによって、
色みや明るさの違いを信号として神経に伝えます。
色はなぜ見えるのか、ということを考えるとき、
光の分光分布や物体の分光反射(透過)率同様、
眼ーすなわち網膜の杆体・錐体ーが
異なる波長の光に対してどのように反応するのかを
知る事がとても重要です。
そして、その特性をグラフで表したのが、
分光視感効率曲線です。
このグラフも分光分布、分光反射率曲線と同様、
横軸が波長で、その範囲は380nm~780nmです。
縦軸は視感効率で、
もっとも感度がよい(=明るく感じる)波長の光の明るさを1とします。
分光視感効率曲線が水平な直線ではないということは、
眼に入る光が同じ明るさ(=エネルギー)でも、波長が異なると、
眼には色の明るさが異なって見えるということです。
杆体がもっとも明るく感じるのは波長507nmの光で、
錐体がもっとも明るく感じるのは波長555nmの光です。
さらに、明るいところでは杆体はほとんど働いておらず
逆に、暗いところでは錐体はほとんど働いていません。
つまり、明るいところと暗いところでは、
同じ色の物を見ても、色の明るさが異なって感じられるのです。
次回はまとめに入ります。
【色を見るための三つの要素の記事】