「歴史でわかる科学入門」の「第17章 ひらめきの火花」まとめ

電気の研究の始まり。
1. ベンジャミン・フランクリン以前
・古代ギリシャの時代から磁気の存在がわかっていた。
・16世紀半ばのコペルニクスの時代には航海に羅針盤が使われるようになった。
・1600年にイギリス人医師が磁石について著した書物に「磁気」という言葉が登場する。
・1745年前後にライデン大学の教授が静電気をたくわえる装置「ライデン瓶」を発明。
2. ベンジャミン・フランクリン(1706-90)
・電気の研究に最初に秩序をもたらした。
・アメリカ合衆国が大英帝国から独立を勝ち取った独立宣言(1776)の起草に携わった。
・「時は金なり」「この世で確かだと言えるものは、死と税金だけだ」などの格言や名言を数多く残す。さまざまな分野の学問を独学し、ロッキングチェアや遠近両用眼鏡を発明した。
・ライデン瓶に興味を持ち、バッテリーを考案した。(「battery」という英単語は彼が作った)その実験から得られた知見を応用して稲妻が起こる仕組みを解明しようとした。
・雷雨のさなかにふたつの雲が衝突して電気が放出される現象が稲妻だと考えた。これを証明するため、雷雨のさなかに凧をあげるという危険な実験をおこなった。凧をあげる係の感電を防ぐための絶縁やアース対策も装備した。
・この実験の結果はすぐに実用的なものに応用され、避雷針やアース器具が普及した。
3. ルイージ・ガルヴァーニ(1737-98)
・医師としての仕事をしながらボローニャ大学で解剖学と産科学を教えていた。
・筋肉が電流を発生させ、放出することができると考えた。
4. アレッサンドロ・ヴォルタ(1745-1827)
・ガルヴァーニの説の信憑性をくつがえすための研究の過程で、亜鉛と銀と湿らせた厚紙を重ねると、持続的に電流を生み出すことができるという発見をした。彼はこれを「電堆」と呼んだ。
・さらに電堆を改良した電池も発明した。
5. アンドレ=マリ・アンペール(1775-1836)
・フランスの数学者。父がフランス革命で処刑された。最初の妻は3人目の子を産むと亡くなり、2番目の結婚は破局。子供たちの素行も荒れていった。
・電気と磁気を一緒にした分野に「電気力学」という命名をした。磁気とは動いている電気だということを明らかにした。
・彼の理論は多くの電磁気学研究の出発点となった。
*補足
ガルヴァーニは「ガルヴァニック・ショック」「ガルヴァノメーター」、ヴォルタは電圧の単位「ヴォルト」、アンペールは電流の単位「アンペア」にその名が使われている。
参考文献 「歴史でわかる科学入門」(ウィリアム・F・バイナム著 藤井美佐子訳 太田出版)