「歴史でわかる科学入門」の「第13章 めぐりめぐるーハーヴィー」まとめ
血液の循環を発見したウィリアム・ハーヴィー(1578-1657)の生涯と功績について。
「第13章 めぐりめぐるーハーヴィー」の要約
1 ハーヴィーの生涯
・イングランド生まれ。父親は農業を営み、のちに商人として成功した。ハーヴィーの5人の兄弟も商人になったが彼は医学の道を選び、ケンブリッジ大学に学んだ後、パドヴァ大学に進む。
・パドヴァ大学の教授ファブリキウスからアリストテレスからの伝統を受け継ぐ考えを教えられた。それらは以下の通りである。
- 動植物のなかにあるすべての部分に固有の機能がある
- 心臓と血液が人間に生命に最も重要な役割を果たしている
・彼はパドヴァ大学で学業を修めた後イングランドに戻り、医師としてのキャリアを築いていった。
・聖バーソロミュー病院で外科医を対象に解剖学と生理学を教えるようになる。イングランド王ジェイムズ1世とその息子のチャールズ1世の侍医にもなった。
・生涯を通じて血液に強い関心をもち、たくさんの観察や実験をおこない研究を続けた。ヴェサリウスと共通する研究姿勢ではあるが、ヴェサリウスが死体を使ったのに対し、ハーヴィーは主に生きている動物を使って調べた。
・その結果、血液は鼓動のたびに心臓から出ていき、動脈を通って静脈に行き、心臓に戻ってくるという循環のサイクルがあるという説にたどりついた。
第13章まとめと感想
・ハーヴィーは終生血液に関心を持ち、医学の道に進んで医者として成功しながらその研究をきわめた。
・先人の研究に学び、それだけではなく自分自身で調べて実験を重ねて疑問を解き明かそうとした。さらに、人々に自分の考えを確認してもらうための実験もおこなった。
・彼の考えは当時は批判する者もいたが、後継者に引き継がれて広く受け入れられ、生物学と医学における実験の生みの親とみなされるようになった。
*感想
・ハーヴィーは、ガリレオやヴェサリウス同様、古代の学者の研究からはじまり、最終的には自分自身の研究によって古代の偉人たちの考えを超越することができるということを証明してみせた。
・彼の研究の内容だけではなく、その取り組む姿勢が後世のジャンルを超えた研究者たちに勇気を与えることになり、引き継がれていったのだろうと思う。
参考文献 「歴史でわかる科学入門」(ウィリアム・F・バイナム著 藤井美佐子訳 太田出版)