「歴史でわかる科学入門」の「第9章 賢者の石を探し求めて」まとめ

錬金術と、15世紀の錬金術師であり科学者であったパラケルススについて。

「第9章 賢者の石を探し求めて」の要約

1.錬金術について

・古代より、ありふれた身近な物質から金を作り出すことを目的として様々な方法が試みられ、それが錬金術と呼ばれる。また、「賢者の石」を使えば金を生み出すことが可能になると考えられており、錬金術師たちは賢者の石を作ることも試みた。

・現代では錬金術は科学とはみなされないが、彼らがおこなった数々の実験や発見は、のちの化学者たちに受け継がれていく。

2. パラケルスス(1439頃ー1541)について

・スイスで生まれ、医師である父親から鉱物や植物について、また医学を学んだ。

・イタリアで医学を学び、ヨーロッパ各地を転々として医師として活動するかたわら自身の研究に打ち込み、あらゆるものを観察し、化学実験をおこない、書物を著した。

・ガレノスやアリストテレスなど古代の学者たちの書物に頼らず、全て自分で観察し、実験し、考察して疑問に対する答を導き出そうとした。

・生前の彼には支持者は少なかったが、没後に支持者が増えていった。彼らはパラケルスス派を称し、科学と医学の変革に努めた。

・彼の死の2年後の1543年に解剖学についての著作と天文学についての著作が出版される。そのどちらもが古代の偉人たちの著作の内容に異を唱えるものだった。

第9章まとめと感想

・古代より金は人類のあこがれであり、金を作り出すことは夢だった。そのため錬金術師たちがさまざまな仮説を立て、実験をおこない、その過程で多くの発見がなされた。

・錬金術師たちの金をうみだすための方法は、最初は呪術など非科学的な方法に頼ることが多かったが、15世紀になると、実験と観察を重視した科学的な方法で試みる人物があらわれる。それがパラケルスス。

*感想

・錬金術師の中にはペテン師が少なからずいたし、錬金術は現代では科学とは切り離されているので、錬金術というと怪しい世界というイメージがあるが、その内容と歴史を見るとまさに化学の生みの親であるということがわかる。

・怪しい錬金術から怪しくない科学へと変貌する矢先の頃に登場したのがパラケルススといえる。

・ちなみに、わたしは錬金術と錬金術から化学へと変化する歴史を絵画で読み解くという講座をオンラインで開催している。

「賢者の石を求める錬金術師」 絵画で読み解く科学の歴史3

参考文献 「歴史でわかる科学入門」(ウィリアム・F・バイナム著 藤井美佐子訳 太田出版)

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