フェルメール「天文学者」と天球儀と望遠鏡
フェルメールの「天文学者」に描かれている物たちから、当時のオランダでの望遠鏡の歴史をひもときます。
フェルメール「天文学者」1668年頃
日本の着物というか、どてらのようなものを着た学者らしき男性が、机の上に書物を広げて天球儀に触れています。
モデルについて
フェルメールはこの作品とほぼ同時期に「地理学者」も描いています。
フェルメール「地理学者」1669年
これらの作品のモデルは同一人物で、フェルメールと同時代に、しかも同じオランダのデルフトに住んでいたレーウェンフックかもしれないといわれています。
レーウェンフックは顕微鏡で初めて微生物を観察し、「微生物学の父」と呼ばれています。
フェルメールとレーウェンフックについてはこちらの記事で詳しく述べましたのでご参照ください。
天球儀と書物
さて「天文学者」の絵に戻り、机の上にある天球儀を見てみましょう。
夜空に浮かぶ星座が色鮮やかに描かれています。
この天球儀を作ったのはヨドクス・ホンディウス(1563-1612)で、彼は「地理学者」に描かれた地球儀も制作しています。
当時は天球儀と地球儀をセットで作ることが多かったようです。
ホンディウスと地球儀についてはこちらの記事に詳しく述べましたのでご参照ください。
次に書物です。
この本はアドリアーンスゾーン・メチウスの天文測定に関する著書「星の研究と観察 」の第2版だということがわかっています。
モデルが天文学の専門家であることを強調する小道具の一つですね。
さらに、この本の著者メチウスにまつわる興味深い事実があります。
メチウスと望遠鏡
メチウスはオランダの地理学者、天文学者で、天文観測器具を作ったり改良したりしていました。
アドリアーンスゾーン・メチウス(1571-1635)
アドリアーンスゾーンの兄弟のヤコブはレンズの研磨や道具を作ったりする職人でした。
彼の研究はヤコブの協力によるところも大きかったでしょうね。
ヤコブは凸レンズと凹レンズを組み合わせて望遠鏡を作り、1608年に特許を申請しています。
実はある事情により、この特許は認可されませんでしたが、望遠鏡の発明が、その後の天文学の発展に大きく貢献することになります。
その鍵を握るのは、、、
この人、ガリレオ・ガリレイ(1564-1642)です。
ガリレオはイタリアの科学者。オランダの望遠鏡と一体どんな関係があったのでしょうか。
特許が認可されなかったある事情も含め、続きは次回に詳しく述べたいと思います^^